【恐ろしい話】地獄への入り口 長編 - 恐ろしい話

【恐ろしい話】地獄への入り口 長編


小学6年の時の事。


当時、夏は兄貴や、兄貴の友人達の自転車の後ろに乗せてもらい、


数キロ離れた川まで泳ぎに行くのが習慣だった。


しかし、問題の日の昼下がり、ポイントに着いて、


土手の上から川面を見下ろすと、すでに先客達がちらほらいる。


『うわ、○×がいるど!』○×というのは、


兄貴より年上で、中学では札付きの悪。


兄貴や俺の同級生もいるが、とても一緒に泳ぐ気にはなれなかった。


しかたなく下流の浅い所で遊び、近くの畑から拝借して来た


ジャガイモを川原で焼いて食べたりしていた。


時々上流を恨めしげに見ていたが、どうも連中の様子がおかしい。


まるで何か探しているような様子。


「足ひれでも無くしたんだべよ」と話してたが、


しばらくすると、連中が一斉にいなくなった。


こりゃいいや、と場所を移動し、


夕暮れまでの短い間、上の深い所で遊んだ。


帰路につき、自転車の後部で、


風呂上りにも似た良い気分で風に撫でられていると、


向こうから自転車に乗った連中が引き返してくる。


兄や俺の同級生もいたので、「よぅ!」と声をかけたが、


皆がこわばった顔で、こちらを見もしない。


「ちきしょう、無視した!」「学校で会ったら焼き入れだ!」


とぼやきながら帰宅。 その夜、深夜近くになって半鐘が鳴り出した。


翌日解ったのは、兄より一つ上の子が水死した事。


深夜にダイバーまで雇って捜し、


澱んだ深み(水温が上下で極端に分かれる)で遺体が見つかった事。


死因は心臓のショックからの溺死。(矛盾する様ですまん、記憶が定かでない)


あの日、俺らが川に着いた時、すでにその子は不明で、


連中はそれを捜していたのだ。 怖くなって一度帰り、


思い直して捜しに戻ったところを、帰路の俺らとすれ違った、という訳。


とても挨拶を交わす心境ではなかったのだ。


結局見つからぬまま、皆で口裏を合わせ、


最初から知らない事にしよう、としたらしいが、


母親が何度も「うちの子知らないか?」と尋ねて来るに及び、


泣き出し、全てを吐露した。 後に聞いて悲痛だったのは、


亡くなった子の母親が、深夜の川辺で、


「自分が川に入って捜す!」と泣いて半狂乱になった事と、


消防団の人が羽交い絞めにし、 「今入ったら引っ張られる!」


と止めた事。聞いた時は沈黙してしまった。


お腹を痛めて産んだ母親の気持ちを、強烈に思い知らされた。


(自分の田舎では、水死者の霊はその場に縛られ、


他者の足を引っ張るという説が有り、


実際、死体が見つかったのは、以前も人が死んでたいわく付きの場所だった)


唯一オカルトらしいと言えば、友人を見捨てて逃げた子の一人が、


「△×は、あれから何度も家まで来たんだ。夜中に戸がスッと開いたんだ!」


と顔面蒼白、半泣きで話した事。とてもからかえる雰囲気ではなかった。


見捨てた罪悪感がそれを見させた、とも解釈できるが、実際は解らない。


ただし、自分らも後々考えてみると、一時連中が去った後、


あの深みにいたのは、遊んでいた俺達と、死体だけだったのだ。


ちなみに、不良の○×は現場にはおらず、単なる見間違えだった。

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2017.03.20|Genre:|Thread:恐怖の体験話コメント(0)トラックバック(0)Edit
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