彼が弟と富士の樹海へ入った時の話。
森の中を歩いていたら、
30メートルくらい前方に白いワンピースを着た女の人が歩いていた。
直感的に彼は「自殺志願者だ!」と思い、自殺を止めようとその女へ近づいた。
弟が「兄ちゃん…?おーい!戻れ!!何やってんだよ!!」
と凄まじい勢いで叫ぶが、無視した。
すると女が突然走り出し、当然彼もその後を追った。
やっとのことで追いつき、「待てったら!!」と女の肩に手をかけた。
すると手は感触も無く女の体を通り抜け、
女の姿も煙のように消えてしまった。
「…あれ?女の人は?…ひょっとして…あれって…」
ふと彼の足に、 グニョリと嫌な感触が伝わった。
嫌な予感はするものの、恐る恐る目をやってみると、
そこには白いワンピースを着た女性(たぶん)の腐乱死体が…!
絶叫し、樹海を猛ダッシュで彼は逃げた。
方向も解らなかったが、奇跡的に道路に出る事が出来て、
捜索していた弟とも無事再会できた。
地元の人に、死体があった事を話し、その場所まで行ってみたのだが
(一応追いかけている時に木に印は付けておいたらしい)
死体は無く、代わりに、木に首つりのロープがかかってあったらしい。
「あのな、兄ちゃん…」樹海からの帰りの車中、弟がこんな事を言った。
「兄ちゃんあの時、白い服を着た女の人に手招きされて…ふらふらと
森の中へ入っていったんだ…だから俺叫んだんだよ…」
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